
ここ数年、虫歯の予防知識が高まったことで、子どもの虫歯は減ってきているといわれています。
しかし、どんなに注意していても、正しく歯磨きができていなかったり、お菓子の食べ過ぎ、食生活や生活習慣の乱れなどによって、残念ながら虫歯になってしまうことがあります。
乳歯の虫歯の場合、「いずれ永久歯に生え変わるから大丈夫」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、それは大きな間違いです。乳歯の虫歯が、永久歯に悪影響を及ぼす恐れもあります。
子どもの歯を守るためには、日頃から虫歯を作らないように予防することがとても重要です。
一般的な虫歯予防の方法として、歯磨きのほかにフッ化物洗口やフッ素塗布などがありますが、歯科医院で行う効果的な虫歯予防処置の一つが「シーラント」です。
「シーラントってどんなことをするの?」
「子どものうちにやっておいたほうがいいの?」
このような疑問をお持ちの方へ、この記事では、シーラントに適した時期や治療の流れ、メリット・デメリットについてご説明します。
シーラントとは
シーラントとは、乳歯や永久歯の奥歯の噛み合わせ部分の溝、または前歯の裏側の溝に歯科用のプラスチック樹脂を詰め、プラークや食べかすなどの汚れから歯を保護する虫歯予防処置の一つです。
小窩裂溝填塞(しょうかれっこうてんそく)やフィッシャーシーラントとも呼ばれています。
歯の表面は硬いエナメル質で覆われていますが、乳歯は永久歯と比べるとエナメル質の厚さが半分程度しかありません。
また、生えたての乳歯や永久歯は未成熟なため、歯の質が弱く、歯の溝も深いので虫歯になりやすいといわれています。そのため、歯磨きだけで清潔に保つことが難しい場合があります。
特に奥歯は歯ブラシが届きにくく、子どもの小さなお口は外から見えにくいため、虫歯になったことに気づかず、知らないうちに進行してしまうこともあります。
そこで、シーラントであらかじめ歯の溝を塞ぎ、コーティングすることで、虫歯の原因となるプラークや食べかすの侵入を防ぎます。
また、シーラント材の中に含まれるフッ化物が歯の再石灰化を促し、歯の表面を強化する効果もあるといわれています。
シーラントの効果は4年以上持続し、約60%の虫歯予防効果が認められているとされています。特にフッ化物との併用により、虫歯予防の効果がさらに高まるといわれています。
シーラントのメリット
シーラントには、以下のようなメリットがあります。
- ・プラークや食べかすが歯の溝に侵入するのを防ぐことができる
- ・歯の溝を平らにすることで、歯磨きがしやすくなる
- ・虫歯のリスクを軽減できる
- ・歯を削らないため、痛みの少ない処置である
- ・フッ化物の入ったシーラント材の場合、歯を強くする効果が期待できる
シーラントのデメリット
一方で、シーラントには注意点もあります。
- ・硬いものや粘着性のあるものを食べると、取れることがある
- ・噛み合わせにより、擦り減ることがある
- ・すでに虫歯になっている歯には、シーラントができない場合がある
- ・歯磨きが十分にできていないと、虫歯になることがある
- ・シーラントの下に虫歯ができた場合、見えにくくなることがある
シーラントをしたからといって、虫歯にならないわけではありません。処置後も毎日の歯磨きや仕上げ磨き、定期検診を続けることが大切です。
シーラントは何歳頃に行えばいい?
シーラントは、歯が生えて間もない時期に行うことで、虫歯予防の効果が期待できます。
子どもの歯が生える時期の目安
- ◯4〜5歳頃:乳歯の奥歯が生え揃う
- ◯5〜6歳頃:第一大臼歯(6歳臼歯)が生える
- ◯7〜8歳頃:永久歯の前歯が生える
- ◯12歳頃:第二大臼歯が生える
一般的には、乳歯が生え揃う4〜5歳頃、第一大臼歯(6歳臼歯)が生える6〜7歳頃、第二大臼歯が生える12歳頃が、シーラントを行うのに適した時期といえるでしょう。
ただし、歯の生え方には個人差があります。また、乳歯や永久歯はすべて同時に生えるわけではないため、処置の時期はお子さまによって異なります。
乳歯が生え揃う3〜4歳頃には歯科医院を受診し、定期検診やフッ素塗布などを受けながら、歯科医師や歯科衛生士と相談して、それぞれに合った処置の時期を決めることをおすすめします。
シーラントの治療の流れ
シーラントは、歯を削らずに行う虫歯予防処置です。治療の流れは以下の通りです。
1. 歯を掃除します
ポリッシングブラシという専用ブラシで、奥歯の溝に溜まったプラークや食べかすをきれいに取り除きます。
2. 歯を乾燥させます
シーラント材をしっかり密着させるために、歯の表面を乾燥させます。
3. 薬剤を塗布します
シーラント材が付きやすくなるように、薬剤を塗って歯の溝を前処理します。
4. 塗布した薬剤を水で洗い流します
前処理で使用した薬剤を水でしっかり洗い流します。
5. 再度、歯を乾燥させます
シーラント材を流し込む前に、もう一度歯の表面を乾燥させます。
6. シーラントを詰めます
きれいな状態になった歯の溝に、シーラント材を流し込みます。
7. 光を当ててシーラントを固めます
専用の光を当てて、シーラント材を固めます。
8. 噛み合わせを確認して終了です
最後に噛み合わせを確認し、問題がなければ処置は終了です。
1本の歯の処置時間は5分程度です。歯を削る必要がないため、痛みもほとんどありません。歯科治療が苦手なお子さまでも、何回か練習すればできるようになることが多いです。
まとめ
虫歯の発生リスクを大幅に減らすことが期待できるシーラントは、生えたばかりの永久歯や乳歯に有効な予防処置といえるでしょう。
しかし、毎日の食事で少しずつ擦り減ったり、硬いものを噛んだときに欠けてしまったりすることがあります。欠けたシーラントを放置すると、シーラントと歯のすき間から虫歯になることもあります。
また、シーラントは歯の溝には有効ですが、歯と歯の間や、歯と歯ぐきの境目には処置できません。
そのため、定期的な歯科検診を受けることや、毎食後の歯磨きに加えて大人が仕上げ磨きをするなど、日頃から虫歯予防を心がけることがとても大切です。

